Amazon特許権侵害紛争の解決——当所の米国・欧州部弁護士がAmazon特許権侵害事件において越境ECの苦境を解消したケース


   グローバル化された現在、ECの発展は日進月歩であり、企業に無限のチャンスをもたらしているが、同時に少なからぬ試練ももたらしている。中でも、越境ECの保護において特許紛争は大きな試練となる。この分野において、当所は多くのクライアントのために多数の困難な問題を解決し、信頼と称賛を獲得してきた。


 本事例の主役は浙江省のいくつかのEC会社であった。これらの会社はAmazonでそれぞれの製品を販売しており、近年は急速に業績を伸ばしていた。しかし、彼らはAmazonから突然の通告を受け、彼らが他人の特許権を侵害している旨の告発があったことを理由に、商品をAmazonから撤去するよう求められた。これは彼らにとって疑いようもなく大変な打撃となった。当初、彼らは自身でAmazonとの交渉を試みたが、何の効果も得られなかった。且つ、告発者は彼らに対し数百万ドルのライセンス料の支払いを求めた。これらの会社は全くなす術がないと考え、切羽詰まって当所を訪ねた。当所は上述したEC会社の苦境を十分に理解できたため、すぐさまプロジェクトの立ち上げを決定し、経験豊富な代理人と弁護士を派遣してチームを結成した。


 まず、当所は告発者の特許について無効分析を行った。検索の結果、その特許を無効化できる大変有力な証拠が見つかり、これが非常に重要な行動となった。なぜなら、告発者の特許が無効であることを証明できれば、彼らに対する権利侵害の告発は成立しないからである。特許無効分析は複雑で専門性の高い仕事のため、実施する者は特許法を熟知しているだけでなく、専門的な技術と知識及び豊富な検索経験が必要とされる。具体的には、対象特許の技術内容を十分に検討し、従来技術について全面的且つ十分な検索を行って、従来技術と対象特許の技術方案を比較する等が必要とされる。この過程において、当所の米国・欧州部特許チームは重要な役割を果たした。我々は、告発者の特許を十分に検討し、これをターゲットとして十分な検索を行った。そして、最終的に、対象特許を無効化できる有力な証拠を見つけ、これを元にその後の交渉の盤石な土台を築いた。


 続いて、当所は米国での業務経験のある薛暁飛弁護士を派遣し、告発者側の弁護士との交渉にあたらせた。この交渉は、まさに試練に満ちた戦いと言えた。第一に、当方は、交渉にあたり十分な理論的裏付けができるよう、米国の特許法と訴訟手順を十分に理解し、把握しておく必要があった。第二に、当方は、合理的且つ最大限にクライアントの要求を提示し、且つ、相手方から投げかけられる各種の難題に余裕をもって対処できるよう、柔軟なコミュニケーションテクニックと交渉テクニックを有する必要もあった。交渉にあたり、薛弁護士は、豊富な実戦経験と確かな専門知識によって、事実を並べ、法理を説き、利害関係を明らかにすることで、幾度もの長く激しい論争の末に、告発を取り下げるよう相手方を説得することに成功した。また、二度と告発がなされないよう、告発者と上記いくつかのEC会社に契約書への署名を促した。契約書の作成過程において、我々は、クライアントの全ての合理的利益を保護し、且つ相手方が再び告発を行わないよう厳格に保証すべく、契約書の各項目を念入りに定めた。また、事実より、我々が作成した契約書が法的に有効であり、クライアントの権利と利益を十分に保護するものであることが証明された。


 最後に、当所のクライアントとなった浙江省の上記いくつかのEC会社は莫大なライセンス料の支払いを免れることに成功した。また、彼らの製品は再びAmazonに出品され、ビジネスの新たな進展を迎えることになった。この事例は、当所が取り扱ってきた数多くの越境ECの保護事例のうちの比較的代表的なケースの一つである。


 近年、Amazonにおける中国の越境ECの営業リスクが徐々に高まっている。第一に、当該プラットフォームは中国の越境ECに対する攻撃性を増しており、中国の越境ECの商品又は店舗をAmazonから撤退させている。第二に、主として知的財産権の侵害や不正競争に関する第三者からの告発が増加している。これらは、中国の越境ECがAmazonで営業するにあたってますますの試練及び障害となるだろう。また、このことは、中国の越境ECが知的財産権の保護又は抗弁を重視せねばならないことに警鐘を鳴らすものでもある。クライアントの海外展開を援護することは、当所の米国・欧州部が担うべき使命である。